清田カレンさん・斎藤ジュンさんにインタビュー

東京シティ・バレエ団 『眠れる森の美女』

子どもの頃から憧れていた『眠れる森の美女』のオーロラ姫。絢爛豪華なセットや美しい音楽に負けないよう、しっかり踊りきりたいです。

東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』の主人公、オーロラ姫を演じる清田カレンさん、斎藤ジュンさんはともに『眠れる森の美女』は小さな頃から憧れていた作品で、オーロラ姫を踊れることがうれしいと、にこやかに話してくれます。お二人に作品の魅力、そしてバレエの奥深さについて語っていただきましょう。

清田カレン(きよた かれん)

母である清田公美のもと、3歳からバレエを始める。9歳より法村友井バレエ学校にて法村牧緒に師事。2014年全日本バレエコンクール第1位など数々の賞を受賞。2012年、ピッツバーグ・バレエ・スクールに短期留学、2016年にロイヤル・ウィニペグ・スクールに研修留学するなど海外経験を経て、2021年東京シティ・バレエ団に入団。2023年12月、プリンシパルに昇格。

斎藤ジュン(さいとう じゅん)

渡辺珠実バレエ研究所にてバレエを始め、2000年、本多実男バレエスタジオに入所。2012年、ドミニクカルフーニ・フランス・パリへ短期留学。2014年、NAMUEクラシックバレエコンクール入賞1位など各コンクールで輝かしい成績を残す。東京シティ・バレエ団特待生を経て、2016年に東京シティ・バレエ団に入団。2021年4月、ソリストに昇格。

まさにお姫様のなかのお姫様。ハッピーエンドが似合うオーロラ姫をしっかり表現したいです。

──上演される作品をご紹介ください。

清田:『眠れる森の美女』はチャイコフスキーの3大バレエとして有名な作品です。童話などさまざまな形でよく知られている物語で、お子さんから大人までどなたにも楽しんでいただけると思います。

主人公のオーロラ姫は多くの人から愛されてきた役で、まさに、お姫様の中のお姫様。誕生するシーンから始まり100年の眠りにつき、そして最後は結婚式をする。幸せなエピソードがたくさん詰まっているお話です。プロローグに出てくる6人の妖精からもらう人徳、優しさ、明るさ、そういうものを持ち合わせた美しい女性で、その中で自分が持っている力で運命を変えていく。そして王子様と出会って、ハッピーエンドを迎えます。本当に幸せあふれる、ハッピーエンドがよく似合うオーロラ姫を見ていただきたいと思っています。

斎藤:オーロラ姫は、お姫様ならではの動きが多いので、テクニックはもちろんなのですが、芸術的なニュアンスや表現を大事にしたいと思っています。また、1幕から3幕にかけてオーロラ姫は大きく変わります。その変化の部分も、踊りで表現していきたいです。

私たちも小さい頃からずっと憧れていた作品。子どもから大人まで、誰もが楽しめるはずです。

──斎藤さんは2020年にも『眠れる森の美女』でオーロラ姫を演じられています。今回はどのような心境ですか?

斎藤:前回から4年が経ち、再び『眠れる森の美女』のオーロラ姫を踊らせていただけることをとてもうれしく思います。オーロラ姫の繊細な表現を大切に、豪華なセットや音楽に負けないように心を込めて踊りたいです。

今回は、東京シティ・バレエ団付属バレエ学校の生徒も出演しますし、3幕に新たなキャラクターが加わります。前回よりもさらに華やかな舞台になるのではと思っています。2020年の公演のときはまず音取りや振り付けなど細かいところをまず決めるところからの作業だったため、とても時間がかかりました。振付指導のラリッサさんから丁寧なご指導をしていただき、今回も当時のポイントを抑えて練習に励んでいます。前回の経験を活かして、自信を持って踊れたらなと思います。

──清田さんは今回が初のオーロラ姫役ですね。

清田:私は入団して3年目ですがバレエの中でも一番好きな作品なので本当にうれしいです。子どもの頃に観て、すぐに理解できて一番ワクワクした作品が『眠れる森の美女』でした。バレリーナの動きがとても素敵でそれが憧れにつながりました。今回もバレエを習っているお子さんにもワクワクして見てもらえるのではと思っています。好きなシーンがたくさん詰まっているからこそのこだわりも出てきています。本番までに完成できるよう、今頑張っています。

斎藤:私も小さい頃からずっと観ていた作品です。『眠れる森の美女』はキャラクターがとても多くて、シーンもガラッと変わっていって面白い。本当に楽しく観られる作品ですよね。また、古典的なバレエの良さがすごく伝わる作品でもあります。小さいお子さんからバレエを知らない方まで、誰でも楽しめる舞台です。

清田:衣装もとても素敵なんですよ。本当にかわいくて!一目で何の役かわかるほどにカラフルで、衣装を着るのが楽しみです。

創立56年目、歴史ある東京シティ・バレエ団が挑む、新国立劇場のステージ。

──東京シティ・バレエ団はどのような団体ですか?

斎藤:東京シティ・バレエ団は2024年で56年目を迎えるバレエ団です。海外の作品も多く踊ってきて海外バレエが好きなお客様ももちろん多いですね。その一方で、セリフ付きバレエ、落語バレエ、さらには0歳から観られる舞台などさまざまな作品を上演しているバレエ団でもあります。バレエをよく知らない方、観たことがないという方でも観ていただきやすい舞台が多いのが特徴です。

──今回は新国立劇場という大舞台での上演ですが、それに向けての意気込みもおきかせください。

清田:私が入団して最初の年に新国立劇場での公演が予定されていましたが、コロナにより残念ながら中止となってしまいました。その次の年も、新国立劇場での公演があったのですが、私自身が体調不良で出演ができませんでした。新国立劇場のステージに初めて立つ公演で主演を務めさせて頂くので、張り切っていきたいなと思います。

斎藤:新国立劇場で踊ったこともありますが、よく公演をさせていただいているティアラこうとうでも、地方公演でも私はいつも思うことは一緒です。お客様にしっかり楽しんでいただきたい。その気持ちを込めて踊っています。今回もそういう想いで踊りたいですね。

自分と向き合って次の課題が見つかる、さまざまな役になりきれる。プロになったから見えた世界。

──お二人がプロのバレリーナを目指したきっかけを教えてください。

清田:母がバレエの先生で、幼いときからずっとバレエをしていました。最初はバレエをする意味がわからなくて、それに悩んでいるのが嫌だなとも感じていました。だから答えを見つけるためにバレエを続けようと思ったんです。この作品を踊り終えたらどういう気持ちになるのか、この発表会が終わったときの達成感はどんなものなのか、留学中にもそういう気持ちでバレエを続けていました。その延長で、踊りの技術を人に評価してもらったり、多くの作品に呼んでいただける機会を得、自分がやってきたことが人の期待に応えられるなら、それがプロのバレリーナになりたいと思うきっかけでした。高校を卒業して19歳くらいの頃ですね。私はバレエ団に入るのが遅くて25歳まではずっと下積みでフリーとして海外を転々としていました。自分の踊りに納得がいかなかったらプロとしてやる資格がないとも思っていました。

斎藤:私も母がバレエ好きで、バレエを始めました。それこそ、お家で『眠れる森の美女』の映像を観て、キラキラした世界に憧れていましたね。当時の私の先生が現役のダンサーで、先生が『眠れる森の美女』に出演される時は必ず観に行っていました。すごく刺激的な練習をしていたので、いつか私も先生のように踊りたいという気持ちになって、自然とプロを目指すようになりました。当時は週に2回ほどの少ない練習量だったんですけど、高校を卒業する前にコンクールでスカラシップをいただいて海外留学することになりました。海外の環境で踊ることで、基礎もしっかり学び、帰国してからは舞台に上がるチャンスにも恵まれたと思っています。



──実際、プロになられてどのようなことを感じていますか?

清田:実際にプロになってみると、想像以上の責任感があるものだと感じています。お客様の反応も、周りからの評価もあるので、いろいろなところで自分と向き合う必要がある、それが面白いですね。そして、一つ一つクリアしていったらまた次の課題が見えてくる。スタジオのリハーサルだけではわからない、お客様のいる舞台に立って初めてわかるものが、プロになってからはとても多いんです。次の課題がより明確になって新たな舞台に取り組める、とても充実しています。

斎藤:やはりプロになってからはいろいろな作品を踊る機会が増えました。そこが面白いところだと思いますね。舞台では、本当にさまざまなキャラクターになれるんです。たとえば幽霊だったり、村娘だったり(笑)。そのギャップを楽しんでいます。

想像する楽しみ、そして緊張感、空気感。心で感じてほしいバレエの魅力。

──ずばり、バレエの魅力とは?

斎藤:バレエはセリフがないので、音楽と体の動きだけで表現します。だからこそ、視覚や聴力だけでなく想像してみる楽しさもあると思っています。また本番は一発勝負。ダンサーの緊張感や、音楽や舞台セットが合わさった空気感が味わえるところが面白いですね。本番の音楽を聴けるのも、オーケストラと合わせるのも本番直前だけなので、とても緊張します。

清田:台詞がないのでバレエは一見わかりづらく見えます。でも、たとえば海外の言葉の通じない国で、ジェスチャーでやりとりをするとき、表情や動きで気持ちが伝わりますよね。バレエではさらにお芝居と体の動き、踊りの強弱、音楽がプラスされ、この人は今すごく喜びにあふれているとか怒り狂っているとか、伝わるのではと思います。そして、いくら頭で考えてもたどり着かない部分があるのも、バレエの魅力です。きっとみなさんに、その魅力が伝わると思っています。

想像する楽しみ、そして緊張感、空気感。心で感じてほしいバレエの魅力。
幸せいっぱいのオーロラ姫の姿を、劇場で観ていただきたいです。

──最後にお客様に、メッセージをお願いします。

3月23・24日に、新国立劇場で東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』を上演いたします。劇場でお待ちしております。



東京シティ・バレエ団 『眠れる森の美女』 公演情報はこちら

2024都民芸術フェスティバル公演情報

都民芸術フェスティバル アンケート 都民寄席アンケート 民俗芸能アンケート
お問合せ
ページの先頭へ